「じゃあ今夜、行こうじゃないの」









夏祭り  氷帝編









今日は夏祭りの日。
跡部邸を訪ねて跡部の話を聞くと、なんと跡部はお祭りに行ったことないらしい。
じゃあ私が連れてってあげようじゃないか!
ってことで半ば強制的に跡部と夏祭りに行くことに。
もちろん浴衣着て来い、って言ってね。
ああ、私も浴衣です。

で、今は待ち合わせ場所で跡部待ってた・ん・で・す・が!!

「何故お前らがいる」

正レギュラー陣勢ぞろいしてるじゃない。

「何故って跡部さん脅迫したら先輩と夏祭り行くって言ったからですよ」

黒い!長太郎黒い!
ってか脅迫!?

「ふふふふふふふ・・・・・・・浴衣姿もかわええなぁ!襲っちゃいたいくらいやで!
 ・・・・ん?浴衣ってはだけ「黙れこのド変態が」

きめぇよ忍足。
・・・・ってかちゃっかり全員浴衣だし。
・・・・・日吉似合いすぎだし。
とか考えてたら日吉がにやって笑った。
にやって。

「なんですか、先輩。もしかして俺に見惚れてます?」

・・・・・お前・・・・。

「んなわけないでしょうが!!」

「怪しいですね」

ああもうこのドSめっ!
・・・なんかおかしいな。
というか

「肝心の跡部は?」

『・・・しらね』

皆―長太郎以外―はそういって視線を長太郎に向けた。
・・・・え?まさか

「ちょっと樺地と寝てもらってます」

あっれぇ、今日の長太郎ってば黒いぞ。
いつもは真っ白で可愛いのに・・・!!

・・・・ってちょっとまてちょっとまて。

寝てもらってる?

・・・・そういえば樺地もいない・・・・。
・・・・ちょ・・・・

「殴った?」

おそるおそる長太郎に聞くと、にっこりと否定した。

「いいえ。睡眠薬です。殴って傷が付いちゃうとあとあと恐いので。  ファンの子たちが」

ああ、ファンね・・・。

「まぁ、行こーや。跡部と樺地は欠席や」

忍足が腕を絡めてくる。
うぜー。
と、すっと誰かが腕を放してくれた。
うん?と思って隣を見ると

「さんきゅー、宍戸」

「ま、こういうのが俺の役目だからな」


「「ーっ!!行こーよー!!!」」

岳人とジローが前に走っていって叫ぶ。
・・・・はぁ、まぁ・・・いくか。


*


「いやいやいや、そこはもうちょっと上じゃない?」

「此処でいいじゃないですか?」

「えー、俺はもうちょっと右だと思うC」

「もーなんでもいいからさっさと撃てみそっ!!」

射的をしている宍戸を見守る・・・というか宍戸に文句を言っている私たち。
いやいやいや、だって、ねぇ。

「あーもういい。適当に撃つ!」

ぱん、と勢いよく飛び出た弾は、なんか小さいクマのぬいぐるみっぽいのに当たった。

『宍戸すげぇ』

皆で感嘆の声を漏らしている間に宍戸は屋台のオッサンから当てたぬいぐるみをもらっていた。
そしてそれを少しの間、複雑な表情で見つめると、私に差し出して

「・・・いるか?」

少し頬を赤らめる宍戸が可愛い・・・・!!!
宍戸に思いっきり笑いながら、

「いるっ!」

って叫んだら宍戸も笑い返してくれた。
かっ、可愛い・・・・。
というか爽やか・・・・・!!

ぬいぐるみを受け取った瞬間、ぐいっと後ろに引かれた。
おわ、と思わず声を漏らすと、ぽすっと何かの中におさまった。
上を見ると、俺様何様跡部様!

「跡部っ!大丈夫だったー?ちょうたろ「迎えにくらい来い」

そういって跡部はぎゅ、と腕に力を入れた。
それをみて皆が「あーっ!!!」と叫んだ。
・・・うるさいよまったく。

「ごめんね。・・・長太郎が黒くなっててさ・・」

最後はぼそっと小声で言う。
と跡部は呆れたように軽くため息をついた。
ブラックモードのあいつは止められないからな、的な顔してる。
あれ、ちょ、私エスパー!
・・・・はい、ごめんなさい。

「いつまでそーしてん、ねんっ!」

ねん、のところでぐいっと忍足に引き剥がされる。

「おぅわっ」

またコケそうになったじゃないか。

忍足がどさくさに紛れて抱きしめようとしたのですーっと抜けて、右側にいた日吉の右側に移動。
ここで跡部と樺地がやっと見えた。
・・・って

「おいおいムカつくなぁ、跡部さんよぉ!!!
 和服まで似合いやがってコノヤロー!」

神は二物を与えず、とかいうけどさ!
コイツの場合例外じゃないの!?
和服も洋服も似合ううえ顔もよくて金持ちですか。
そうですか。そうですか。
かっ・・・・神様のバカヤロー!!!
・・・・あ、でも性格は俺様で迷惑か。

「何ブツブツ考えてやがる。
 なんでも似合うのは俺様だからだ。文句あるか?あーん?」

何人の心読んでやがる。

「だってだってズルい!ねぇ、日吉?」

なんとなく横にいる日吉に振ってみた。

「たしかにズルいですけど下剋上のしがいはありますよ。

 でもまぁ和服は俺の方が似合うと思いますが?」

馬鹿っ!私の馬鹿!
日吉は喧嘩腰になるじゃないか!
・・・・でも止めるのめんど・・・・ごほっごほっ。
失礼、ちょっと言い間違えてしまってね。
・・・・って誰だよ私。

あーもうなんか2人して喧嘩してるし。

ーっ!あれ、あれ買ってあれ!」

「あ、俺もーっ!!」

可愛い2人がやってきた。
ぴょんこぴょんこと跳びながら岳人がり言うと、どこからかジローも来た。
2人の指の先を見ると、そこにはにはりんご飴の屋台。
2人の顔をみると満面の笑み。
・・・・。

「し、仕方ないなぁっ!岳人とジローだもんな」

かんぱーい!
もちろん完敗のかんぱーい!

「わーいっ!いこーぜ!!」

ほらほらもうぴょんぴょん跳ぶな岳人。
可愛いなもう。

「りっんごっ飴ー♪」

ほわほわしながら歌うたってるよもう可愛いなジロー!!

だーっと少し進んだところまで3人で走って、立ち止まり、残りの皆を呼ぶ。

『りんご飴いらないのー?』


*


ところかわって金魚すくい屋台の前。
祭りと言ったら金魚すくい!
すくった金魚は跡部邸で飼ってもらうことにして・・・

「金魚すくい大会やーっ!!!」

「忍足、うるさいよ」

いやさ、金魚すくい大会はやるけどさ。

「誰が一番多く取れるか、ってだけだろ?」

宍戸が呆れたように言う。
それに忍足がうれしそうに答える。

「『だけ』やけど、特別ルールがある。それは・・・・
 横取りアリや」

語尾にハートをつけそうな勢いで。
・・・・ってちょっとまてこらぁっ!

「横取り!?」

「横取り。」

吃驚して忍足に問うと、ごく普通に返された。

「下剋上だ」

「宍戸さん、覚悟しておいてくださいね」

「え、ちょ・・・・。か、樺地なんとかしてくれ」

「・・・・。」

「樺地ィ!?」


「跳ねてみそ跳ねてみそ〜」

「あっ!跳ねたCー!!」


なんか皆盛り上がってるし・・・・。

「ま、腹くくれ」

「・・・はぁ。」

まぁ、うん。
皆楽しそうだし。
私も楽しまなきゃね。


「いい?よーい・・・・・・・・・はじめっ!!!」

私の声を合図に皆で金魚に向かう。
審判は樺地。

って長太郎じーっとしてるし。
・・・ああ、宍戸のを狙ってんのか。

・・・なんかさ、金魚がさ、私たちからさ、


離れてく。


あれ、悲しい!!!
なんか屋台のオッチャンも困った顔してるよ!
オッチャンがほれほれ、ってばしゃばしゃしてこっちに金魚を来させようとしてくれてるけど

来ない。

・・・・ふんっ。
こうなったら

「強行突破だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ぐわーっと腕を伸ばしてポイを水につける。
と皆も私に続いた。

『うおりゃああああ!!!!!』

『うおおおおおおお!!!!!!!!』

『でりゃあああああああ!!!!!!』

ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃと音をたてながら金魚をすくう。
もはやすくう、の次元じゃないけどさ!
オッチャン引いてるけどさ!
周りの方々も引いてるけどさ!


構ァァァァァァァァァァァわなァァァァァァァァい!!!!!!


こーのーてーをはーなーすもーんか

真っ赤な誓いいいいいいいいいいいい!!!!!!

って間違えたァァァァァ!!!1

*

「勝者は俺だ」

「久々に白熱しましたねー・・・」

「ぼ、ぼぶじゅつのどうじょうをやってるラッシュ・・・」

「忍足さん・・・おかしくなってます」

「元からだCー」

「だよなぁ。あ、金魚また跳ねた!もっと跳ねてみそー!」

「岳人は元気だな」

事情後。とかいうとえろい感じがするよね。
うん、ピピーって笛の合図でしゅーりょー。
・・・・さて

「樺地!判定よろしく!」

「ウス。」

そういって樺地は全員のカップを回収した。
ウス、ウス、ウス といって数える樺地を全員、息を詰めて見守る。

「・・・ウス」

終わったらしい。
ごくりと唾をのんで、樺地の言葉を待つ

「勝者は・・・・いません」

『えええええええええええ』

マジか。
マジか。

「全員0匹・・・です」

全員固まる。

「樺地・・・えーと、それはマジですか?」

「ウス」

うなずいた。
たしかにうなずいた。
・・・。

『マジかァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!』

*

オッチャンに哀れみの目で見られながら全員、オマケに1匹ずつもらった。
・・・ああー・・・・。

「強行突破が駄目だったかねぇ」

「騒ぎすぎた所為じゃね?」

「忍足の変態オーラの所為だろ」

「なんやと!?」

いろいろ遊びまわって、皆で土手っぽいところで反省会議。
だーっと横に並んで座ってるから傍からみたら奇妙だよね。

「あーでもこの子可愛い」

ふ、と笑って金魚の入った袋を目の高さまで持ってくる。
うちで飼えたらいいんだけどなー。
世話とか出来ないし。
・・・あ、跡部に渡さなきゃ。

立って、3人隣りの跡部の前にしゃがみこんで金魚を差し出す

「頼んだ」

笑って見せると、呆れたような顔をしたが、跡部も笑ってくれた。

「じゃあ毎日来い」

「ふーん、いいんだね?行って」

「当たり前だ。
 ・・・・結構楽しかった、今日。
 お前、はしゃいでるときが一番可愛いな」

にっと笑う跡部。私も同じように笑って返す

「お褒めの言葉アリガトーゴザイマス。跡部様。ってか」

そこに忍足が乱入。

「あかんあかんあかん!!なんかえー雰囲気になっとる、ここ!全力で止めるんや!!」

『おー!』

ちょ、皆もノるなー!!!


なんかジローとか岳人が私の上に乗っかってきたりしてたらバーンとすごい音と光。
そっちに顔を向けると

「あ、花火か」

綺麗な花。
やっぱ最後は花火だね!
土手で花火!
わお素敵!

「もみくちゃな状態だけどさ」

呟きは次のジローたちの声で消えた。

「うわーっ!!すっげーすっげー!!」

「おー!!俺もあれくらい跳べるぜ!!!」

今にも飛び跳ねそうな岳人の頭を撫でて押さえつける。

「跳ばないでよろしい」

ついでにジローの頭も撫でる。

「あー・・・ほんときれー・・・・・。来年も来る?」



『もちろん』


全員一致で来年もまた来ることになりました。
・・・金魚すくいの練習しておこう。






2007/09/01