「悪い、俺、他に好きな奴いるからさ」






涙の向こうのその笑顔










「っ。そ、そうだったんだ。ごめんね。え、っと・・・」

そこで一旦言葉に詰まる。

「そ、そのっ・・・。その、好きな子とのこと、頑張ってね。じゃ、じゃあね」

頑張って笑顔を作ってみせた。

「おう。ありがとな」




――たった今フラれました。
結構長い間想い続けてた同級生にフラれちゃいましたよ。
あー・・・さっさと忘れちゃおう。
・・・忘れちゃおう。

泣きそうになるのを堪えながら校門に向かう。
泣くのは家帰ってから!
そう決めた途端


「っ!?」


暖かい何かが背中に当たって、後ろから腕が回された。
・・・


「フラれたすぐ後の心が弱い女の子を狙うような悪い子だったっけ?ブン太は。」


顔が肩の上に乗せられて、赤い髪が視界の隅に入る。


「男は皆そんなようなもんだぜぃ」


ん?ちょっと疑問。

「あれ?『お前はタフだから心弱くなんてならねーだろぃ』とか言わないの?」


目を頑張ってブン太の方に向けながら問う。
と、ブン太は予想外にトーンの低い声で言った。



「言わねぇ。お前だって普通の女だ」


・・・・なんだよもう。


「そんなこと言ったってブン太には付いていかないよ。
 あ、ブン太のこと嫌いなわけじゃないよ?寧ろだいす」
「わかってる」


途中で遮られた。
そしてブン太は続ける。



「だから、俺はちょっとお前を応援するだけ。

 ・・・でも、完全に諦めたら・・・・・・俺のとこに来て欲しい」



見てないだろうけどにっと笑ってやる。


「こういうときに言うのはそれじゃないよ。」

私の意図がわからなかったからか、少しの間。
だけどすぐにぷっと吹き出した様に笑って自信満々で言った。



、お前を俺のモンにしてみせる」



ちゃんとわかってくれた。


するりとブン太の腕の中から抜け出して、小走りで2,3歩前に出て振り返る。
涙を振り払うようにして頭を軽く揺らし、笑顔を見せる。




「私が先にさっきの奴を振り向かせるのと、ブン太が先に私を振り向かせるの、どっちが早いか勝負よ」




じゃあ先帰るわ。
と走って校門を出ると後ろから慌てたようなブン太の声と足音が聞こえた。

「ちょっ、お前っ・・・!!」




負けてやらないんだから。
・・・まぁ、でも


「さんきゅーね、ブン太。」








20080223