「赤也大丈夫かなー」









最終日













今日は夏休み最終日。
私はなんとか昨日までには宿題終わらせて、今、くつろいでるけど赤也大丈夫かなー。
とか思ってみたり。
アイツ毎年最終日に泣きついてくるからなー。

ベッドに寝転びながら考えていたら、携帯が鳴った。
もしや、と思ってみてみると、電話を掛けてきたのは赤也。
・・・・はぁ。

「はーい、ですけどー。何が残ってるのかな、赤也くん?」

嫌味たっぷりで言ってみると叫び声が返ってきた。

ーーーーーーーっ!!!!英語!英語全部残ってる・・・・』

う、うるさっ・・・。
耳がキーンってする。
・・・って英語!?

「ちょ、アンタ馬鹿!?何苦手なの残してるのさ!しかも英語って今年一番多いし・・・。」

と話しながら鞄を取り出して赤也の家行く準備してる私を誰か褒めてください。

『悪ぃ!ほんっと悪ぃ!頼むっ・・・!!教えてくれるだけでいいからさ!』

「毎年言ってるじゃん。今年は何をくれるのかなー?」

小学生時代からの付き合いだから毎年、ちゃんとお代は頂いてます。
現金じゃないけどね。

えーと、一応私の英語のワークとー筆記用具とー財布くらいでいいかな。
もそもそと準備してると、困ったような声が。

『えー・・・今金ない・・・』

「ふーん、じゃあカラダで払ってもらおうか?」

笑って言うとむこうは慌てた声で

『ちょっ!!!女が言う台詞じゃないだろ!!』

そこかよっ!
と思いっきりギャグっぽくツッコミたい気持ちを抑えて煽ってみる

「あれ?じゃあカラダで払うってのに抵抗はないわけ?」

『ばっ、ちょっ・・・!!!』

ああもう可愛い。
たぶん電話の向こうだと顔真っ赤なんだろうなー。
あはっ。見たい。

って楽しいけど赤也で遊んでる場合じゃないわ。

「まぁ、それは宿題片付けながら考えようか。
 ・・・昼御飯くらい用意してくれるよね?」

時計を見ると朝の10時。
どーせ朝の間には終わらん。

『それくらいなら・・・・ってか来てくれるんだな!?』

「まーね。毎年恒例だし。これないと夏休みが終わるって気しないし」

よし、出かける用意は出来た。
自分の部屋から出てどたどたと階段を降りる。

『わ、悪ぃ』

「いいよ。それに赤也の頼みだもんね。行くしかないでしょ」

ふふ、と笑うのと家を出るのは同時だった。

「じゃ、今から行く。ちょっとくらい進めときなよ?」

赤也の返事を聞かずに一方的にぶちっと切る。

自転車の前の籠に鞄を入れてサドルにまたがる。
と同時に走り出した。


*


「ほんと毎年ゴメイワクカケマス」

片言な赤也。

ちなみに今は赤也の部屋。
あーもう散らかってんなー。
私と赤也の間にある机には真っ白な英語のワーク。
軽くため息。

「まーいいって。さて、始めるか」

「サンキュ! おう」

というわけで長いながーい赤也の宿題片付け会の始まりー。


*


「とにかくまず自分でやってみて。んでわかんないとこあったら私に聞いて。答えられる範囲で答えるから。
 OK?」

「おう」

そういってすぐとりかかる。
・・・誰かいないと出来ないタイプか?この子。
ってこのやり方だと私結構暇だなー。

・・・赤也観察でもするか。
ワークをじーっとみつめて真剣に考えてる。
ときどき何か描いて少し考えて消して。
その繰り返し。
・・・助けいるかな?

そっとワークを覗き込んでみる。
現在進行形の動詞を過去形にしろってやつ。
・・・簡単じゃん。

「go の過去形は ウェ の音で始まります」

これくらいのヒントはいいよね。
赤也は、はっと顔を上げて


「went!」


「That's right! なんてね。わかるんじゃん、赤也」

笑って言ったら、赤也もにっと笑った。


*


「そーそーそー・・・ってdidがbibになってる。DがBになってるなってる。よだれ掛けかよっ!」

「え、マジ!?bibってよだれ掛けって意味なの!?」

驚いて顔をこっちに向ける。
ちょ、

「注目するとこ違う。まぁ他にも意味あるから興味あったら宿題終わってから自分で調べたら?」

「宿題おわってから・・・・・・・・おう」

宿題おわってからに決まってるじゃん。



*


「あー、お腹減った・・・ってもう12時だ」

ふと時計を見たらお昼ー。
どうりでお腹がすくわけだ。

「あーかーやー、お腹減った」

うー、と唸ってる赤也に言うと、赤也は驚いて時計をみた。

「もう12時!?」

「いえーす。・・・あ、赤也、台所とか冷蔵庫の中の物とか勝手に使っちゃっていい?」

よっこらせ、と立ち上がりながら訊くと、嬉しそうに赤也は答えた。

「自由に使っていーぜー。ってなんか作ってくれんの!?」

・・・可愛い。
ふっと笑って赤也の横まで来る。
赤也の横通らないと1階の台所まで行けない。

「お、さんきゅー。 ま、赤也頑張ってるからね。私が作ってくるから赤也休憩してたら?」

赤也の頭に手を乗せて撫でながら言う。
あー、もふもふする。

「んじゃ俺もうちょっと頑張ってみる」

赤也は頭に乗せていた私の手を掴んだ。

そして手の甲にあろうことかキスをして、にっと笑った。
あああああ赤也っ・・・・!!!

「ちょっ、いいい今キ、キス・・・・」


「仁王先輩から教えてもらった」


なぁにしてんだ仁王先輩ィィィィィ!!!!!!!

「んじゃ昼飯頼んだ!」

そう言ってまたワークに取り掛かった。
・・・まったく。
・・・顔赤いかなー?

まぁとりあえず昼御飯つくろ。
ごっはんー♪



*



結構食材が少なかったから無難なチャーハンをつくって食べた。
味?・・・普通だったよ。
てなわけでまたワークと格闘中。

ー、これわかんねぇ」

「それ?ここの応用。ここをこーして・・・・」

「あっ!そういうことか!」

少し教えれば結構出来る。
問題を1問解くたびにみせる笑顔が可愛い・・・。
赤也観察楽しい・・・。


、ここ・・・・」

「んー」




*



「終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」





「はーっ。やっと終わったねー。お疲れ様」

のおかげだ、サンキュー!マジ助かった!」

「いいえー」

・・・って今何時だ?
時計を見上げると

「げ、7時!?」

「うおっ!?いつの間に!?」

あー、オカーサマに怒られちゃうわ。
って、あ

「そーいや無償で手伝いはしないんだよねー、私」

言ったとたん、赤也がびくっとした。
どーしよ。
・・・・あ

「めんどいから今晩泊めて。泊めてくれたらいーよ、今年の宿題の分」


「ちょ、ええええええええ!!!!???」


顔を赤くして叫ぶ。

「何、嫌なの?」

「いい嫌じゃない!てか寧ろ大歓迎なんだけど。けどよ!・・・俺たち中学生。」

・・・。

「どーいうこと?」

わざととぼけてみる。

「いやだから俺ら、中学生。男女。・・・・わかるだろ!?」

・・・駄目だ、必死な赤也見てると笑いが堪えられない。

「ぷっ・・・・。赤也面白いねーっ。というか赤也が間違い起こさなきゃ、私から手は出さないよ?」

言うと、赤也は少しもごもごしながら言った。

「だ、から・・・!!!その間違いを起こさないようにしても起こしちゃうかもしれないんだよ!・・・その、なんだ、理性とかいろいろさ」

ふーん・・・。


「じゃあ宿題、破るよ?」


にっこり笑って赤也の終わったばかりの英語のワークを手に持つ。
赤也は慌ててそれを引っ手繰った。

「わああああ!!!わかった、今日泊まっていいから!!」

「やりぃ」





*






なんかまぁいろいろ―お母さんに連絡したりだとか明日用の制服持ってきたりだとかご飯だとかお風呂だとか―あって。
就寝。
・・・というかお母さん、よく許可したな。
大事な娘が男の家に泊まるっていうのに。
・・・いや、私から言ったことだけどさ。

「・・・って布団2つねーよ!!!」

ダ○ョウ倶○部の某方だったら帽子を地面に投げつけそうな勢いで赤也が叫ぶ。
・・・でも私、

「赤也と同じ布団でいいけど?」

「ばっ・・・きょ、教育上的によくないだろ!」

顔が赤いよ赤也。
ああ、也だから赤いのか。
・・・ごめんスルーして。

・・・うっし。

「ていっ」

「おわっ!?」

赤也をとん、と押すと布団に倒れた。
その上に覆いかぶさるように乗ってみる。

「なぁっ!!??」

赤也の顔がどんどん赤くなっていくが気にしない。
すっ、と赤也の顔に自分の顔を近づける。

「今日けっこー楽しかった。たまにはいいね。こういうのも」


「・・・・。」


なんだか無駄にいつもよりトーンが低い。
不思議に思ったけど返事する。

「うん?」


顔を離そうとした瞬間、唇に軟らかい感触。

・・・っちょ・・・・。








「俺もう知らない」








――赤也の目が軽く充血してるようにみえるのは気の所為だと信じよう。






2007/09/02