創立記念日の2,3日! 第9話
ぐわんぐわんと持ち手を引っ張る。
跡部邸は庶民の家とは違ってドアノブじゃないのよ・・・。
「くうぅぅぅぅぅぅ!!!」
左側の扉に片足を掛け、右側の扉の持ち手を引っ張る
「先輩・・・スカートなのに大丈夫なんですか?てか見えてますよ」
左隣の、日吉がニヤリと笑いながら言う。
その隣にいる長太郎は顔が赤いです。
ジローは寝てるよ、オイ。
・・・ん?・・・見え、てる・・・?
・・・・
「っ!!!!」
バッとスカートを押さえながら、足を降ろす。
つかまてオイ、長太郎は可愛い。
が、日吉お前っ・・・。
何笑ってたんだ・・・。
って今はそんな場合じゃなくって・・・。
って今日これ何回目だ・・・。
「うあーっ・・・。」
・・・長太郎でも開かなかったから私でも開くわけないか・・・。
・・・・あ
「日吉でも無理?」
見上げて言うが、日吉は軽くため息をつきながら
「たぶん俺でも無理ですよ」
扉の前に立って、持ち手を引っ張る。
・・・・
「・・・っ。・・・開かないです」
力は入ってた。
日吉でも駄目か・・・。
あー・・・
「開かないかなぁ・・・・」
「あっ」
私がボソリとつぶやいたすぐ後に、長太郎が声をあげる。
座っている日吉を視界の隅に入れながら、長太郎を、見上げる。
「ジローさんなら開いたりして・・・」
・・・・ああ
「開くかもね」
なんか不思議だからね、ジローは。
後ろを振り返る。
「Zzzz.....」
また寝てるよ。
どんな状況でも寝られるのね・・・。
立ち上がって、ジローの傍で叫ぶ
「おーい、ジロー。ジ・ロー!!起きなさぁい!!」
「zzzz...」
起きろよ。
・・・・よしっ。
「こほんっ。
あっ、君は氷帝の!」
某ルドルフミュの方の声真似。
「・・・ん?」
眠そうな目を開けて、起きあがろうとする。
が
「・・・Zzz...」
「って寝るなーっ!!」
再び夢の中へ。なジローにツッコむ。
ってあれ、ここまで再現するつもりはなかったんだけど。
「こらこらジロー、起きろ。
ちょっとこれ開けて欲しいんだけど」
ぐいぐいジローの服を引っ張って起こす。
「えー・・・開かないの〜?」
眠そうに目を擦りながら、起き上がって扉の前に立つ。
持ち手を持って
――ぐいっ
開かず。
「あー・・・・。こーゆーときはねぇー・・・・」
ジローは、一歩後ろに下がって、手を扉にかざす。
そして何をするかと思いきや
「開けーごまっ」
なんとも可愛らしく言っちゃってくれちゃったよ。
ったく、ジロー、
「そんなんで開くわけな・・・」
――ゴゴゴゴゴ
無意味に大きい音をたてて
「「「マジですか」」」
開いちゃったよ、オイ。
「ん?どーしたの?開いたよ?」
ポカーンとする私たちを振り返ってキョトーンとするジロー。
オイオイオイオイ・・・。
「・・・凄いですね・・・」
日吉も思わず声を漏らした。
「・・・で、でもまぁ開いた、ということで・・・。
部屋に戻りますか」
長太郎も苦笑しつつ言う。
ジローは、そこでハッと何かに気づいて、近くの、立派な時計を見る。
そして叫ぶ。
「あ〜〜〜〜!!
もう寝なきゃ〜!」
時計に顔を向ける。
あら、いつのまにやら10時前。
ふっと、顔を扉のほうに戻すと。
「何があったんだ!?」
ハロー、宍戸。
あーんど岳人あーんど樺地その他2名
「宍戸さんっ!?」
さすが、長太郎、
反応がはやい。
「どうしたんですか?」
「どうもこうも・・・。なんかすげー音したから来たんだよ!」
日吉が問うと、岳人が答える。
「ちゃーーーーーーーーーーーっん!!!
大丈夫やったかァァァァァァ!!!!!?????」
げっ
「うるさい」
飛びついてこようとする忍足を蹴り飛ばす。
「さっきのお前は何処にいった!?さっきのお前は!!」
さっきは、まぁ、あれだ。
・・・かっこよかった。
「きゃーっ!ちゃんがかっこいいゆーてくれたわ!!
俺は、コ・コ やでっ」
むくりと起き上がって私の手をとり、言う忍足。
心の中読むな!
語尾にハートをつけるな!
ってことで手を振り払う。
「あーん?、お前こいつを格好良いって・・・・」
いつのまにか隣に現れた跡部。
お前もいたんだな、跡部。
「さっきね、さっきの話ね。さっきの。」
「わー、酷い!『さっき』って3回も言った!」
「跡部も、さっき はかっこよかったよ。」
さっきね。さっき ね。
「当たり前だ。俺様だからな。」
何このジャイ●ン。
でも何度も言うようだけど
「2人とも、さっきだからね、さっき。」
「「ショボーン」」
「はいはい、可愛くないよー」
こっちで騒いでる間に、向こうは説明が終わったらしい。
「ーーーーーっ!!!」
ぎゅーっと飛びついてきた岳人。
「なぁなぁっ!ジローがなんか言ったらドア開いたってマジか!?
ゴゴゴゴゴって開いたってマジ!?」
目をキラキラさせながら。
また変なところに食いついちゃったな・・・。
「ほんとだよ。岳人も見たかった?」
「すげーっ!見たかった!」
・・・ああ、なんか癒されるな・・・。
「よし、じゃあ私が岳人のために練習しておこうじゃないか!」
「マジマジ!?わーっ、大好きっ!いつか見せてくれよ!!!」
「うん」
あああ・・・なんだこの癒し系。
ぎゅっと抱きしめ返そうかと思ったら
「岳人離れぇ!!」
「うぇえ!?」
忍足が岳人を引き剥がす。
ああ・・・私の癒しが・・・・。
とか思ってたら隣から声が
「はーっ・・・まったく、ジローってたまに変なことするよな」
ハロー
「宍戸。」
「おう」
顔を向けると、にっこり笑って返してくれた。
・・・宍戸はあれだな、爽やか系だな。
「何をどーしたらあんなんで扉が開くんだろうね」
苦笑しつつ言うと
「だよなぁ・・・。・・・・俺にも出来るようになるかな・・・」
なんか本気で悩みだした。
ちょっ・・・・
「出来るようになりたいの?」
おそるおそる聞くと
「どうだと思う?」
最高の笑顔で返ってきました。
天然だ・・・天然だ・・・!!
「ど、どーだろぉ・・・」
引きつった笑いで返す。
天然だ、どうしよう宍戸天然だっ・・・!!
「で、俺様はいつまで放置プレイだ?」
・・・こちらも引きつった笑みの跡部が。
と、少し離れたところから
「ーっ!侑士がイジめるぅぅ!!」
「あっ、こら岳人!ちゃん!俺イジめてへんからなーっ!!」
追いかけっこみたいになってる。
・・・いや、たしかに十分できるスペースあるけどさ。
あ
「忍足ーっ!足元にジロー!」
「へっ!?うわっ!」
岳人はヒョイと跳び越えたが、忍足は寝ているジローにつまづき、コケる。
「ジローッ、おまっ・・・!!」
「Zzzzz.....」
まだ夢の中のジローに起き上がった忍足のツッコミが炸裂
「こんなときでも寝るんかい!」
それを、見た岳人がピョンピョン跳ねながら笑う。
「侑士だっせー!」
ぴきっ
「がーくーとー・・・。もう許さん!」
「侑士に許してもらえなくてもいいぜ!」
追いかけっこ、再び。
・・・・・・・・・
「なんか俺等完全に放置だな、鳳」
「でもまぁ先輩楽しそうだし、いいんじゃない?」
「はぁ・・・。なんか、跡部さんたちが来たらいきなり元気になったな、先輩・・・」
「だね。 俺等はまだ修行が必要、ってことかな、日吉」
「・・・だな」
・・・・・・・・
まったく・・・。
ジローのところに駆け寄る
「ほらー、ジロー起きな。
ココで寝たら風邪引くよ?」
顔の横に、正座して話しかける。
と
「んんーっ・・・ちゃん・・・」
「ジロー!?」
私の膝に頭を乗せた。
「あっ、お前ジロー!!」
と同時に宍戸が叫ぶ。
皆の視線が一斉にこっちに集まる。
『ジロー[さん]お前・・・!!!!!』
「んんーっ・・・」
こてんっと私の膝から落ちたジローに
『羨ましいなぁ、オイィィィィィィィィィィ!!!!!!』
一斉攻撃。
とりあえず私は飛び退きました。
まぁ・・・傍観しとこ。
「飽きないねぇ、みんな」
独り言のつもりだったのだが
「ウス」
「樺地。えらいね、樺地は。」
「・・・ウス」
薄く笑うと、樺地は照れたように返事をした。
と、突然
「ーーーっ!」
飛びつく岳人。
「樺地にばっかズルい!俺も褒めて!」
「岳人が、良いことしたらね。
そしたら・・・どうしよっかな・・・なんでもしてあげる。」
「ほんとっ!?」
目を輝かす岳人に、笑みをむけ、
「ほんと」
言うと
「じゃあ俺頑張る!」
にっと笑い返してくれた。
・・・可愛いなぁ。
とか思ってたら
「だったら俺もちゃんに褒めてもらえるようなことするわ!!!
んでちゃんにあんなことやこんなこと・・・」
忍足まできやがった。
「お前は例外」
から切り捨てる。
と、皆標的をジローから私に変えた。
『だったら俺だって――――!!!』
「うおおおぉぉぉぉっ!!??」
――――その後、夜中中騒ぎまくりました。
もうこれでもかってくらいうるさかっただろうね。
跡部邸でよかった。
気づいたら皆、寝てました。
2007/06/26